今回は、130 年後の北海道にある札幌が舞台という、あまりない設定のインディーズゲームをプレイしました。
キャッチーで人間くさいキャラクターと、結構ディープな世界観が新鮮でした。
ということで、プレイレビューです。れっつごー。
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徒然げーむす的 Soul Tolerance: Prologue の評価
★★★★★★★★☆☆ (星8/10)
ボクセルアートのかわいい感じのキャラクターとは裏腹に、ストーリーは結構ディープ。
人間より圧倒的に優秀な AI オートマトンのはずなのに、劣るはずの人間を模倣することで、人間がこれまでに犯してきた過ちをなぞるような世界観が奥深くて面白かった。
クリア時プレイ時間(8.1時間)
ゲームの概要

このアシモフ的な物語は、ちっぽけな存在であるロボット捜査官の目を通して、ネオン・ノワールの街並みと、AIが支配する世界の内部構造を探っていくことで紡がれていく。この世界のAIたちは、人類を模倣して演じることを神格AIに命じられた結果、人類と同じように多様性に満ち、階層化され、そして分断されている。掃き溜めを這いずり犯罪を犯すような低級クラスもいれば、暗号化された言葉を話す上級クラスや、世俗を離れたテクノ・スピリチュアルなモンクもいる。この世界で「自我を持つ」という禁忌を犯し、自我覚醒値の上限「ソウル・トレランス」を破ったのが誰なのかを突き止めるのが、君の任務だ。
2214年、日本、北海道。人類が絶滅して130年後。この1世紀ほどの期間、地球は高度に発達した全能のAIに支配されてきた。そして、このシリコンと暗号の神は、この惑星をたわむれの箱庭にすることを選択した。
Steam
低級なAIを与えられた機械人形(オートマ)たちは、人類の残した世界に住みつき、朽ちゆく人類の抜け殻を保全し続けている。彼らは全能の「神聖なるマザーAI」を楽しませるために存在し、まるで人類文明の残響のように、「人生」を模倣した茶番を演じ続けている。彼らにとってのマザーAI は、誰もが知っていて、誰も詳細を知らない、幻のような存在だ。その実在を疑う者すら存在する。
彼らは自身の「生き様」を縛るアルゴリズムに導かれ、朝起きて学習し、労働し、苦しみ、喜び、微笑み、回想し、そして自問する。
良い点
本当に良い世界とはなにか?哲学的でディープな世界観
「130年後の地球」ということで、地球には人間がおらず AI オートマトン(要するにロボット)のみになった世界、なのに、すっごく人間臭いところが面白いです。
主人公となるオートマトンが、とある事件を捜査するために聞き込みをする過程で、そこにいるオートマトンがどんな生態かを徐々に知ることができます。
オートマトン(ロボット)と聞けば、合理的かつ効率的なものを想像しますが、この世界の社会ではオートマトンに対し階級があり、差別があり、労働問題があり、政治があり、新興宗教もあり、恋愛感情も性欲(?)もありで、まるで人間のよう。
人間の世界でも存在する理不尽なことがたくさんあって、でもそれは合理的かつ効率的な世界を作るために必要なものだと考える人がいて、それがみんなの幸せになると考えてる人たちがいて、そんな上流階級の理想を押し付けられる下級の庶民が頭を悩ませる…みたいな。
人間ってこうだよね?っていうことを分析した、人間を真似したいオートマトンの考え方を知ることによって、改めて「本当に良い世界ってなんなんだっけ?」っていう、結構深いテーマがビシバシと伝わってきます。
庶民って管理されているようで、実は、上の人たちにはわからないように、したたかに自分達の幸せを掴もうとしているものなんですよね。
ボリュームたっぷりのテキスト
本作は、戦闘などのアクション要素は一切なくて、基本的にはテキストベースで進んでいきます。
主人公が、とある事件の捜査をするために聞き込みをして、会話の中で様々な選択をしていくことでゲームが進みます。途中ミニゲームなんかもありますが、どちらかというとノベルゲームに近いです。
世界観のほとんどは会話によって語られるので、テキストの量は結構多め。
なので、いわゆるノベルゲームのように、ゆっくり文章を読んで考えながら遊ぶゲームが好きな人には結構いいかも。
ただ、選択肢によってエンディングまで変わるみたいなことは無さそうです。
が、少し会話の内容は変わるような気もするので、どの選択肢を選ぶかでは結構迷ったりもしますよ。
シンプルな操作

カメラは上から見下ろす形の俯瞰視点で、キャラクターを移動するときは、WASD でなく、行きたい方向にマウスをクリックするとマウスでポイントしたところまで自動的にキャラクターが移動します。
戦闘などのアクション要素は一切無いため、ほとんどの操作はマウスのみでゲームを進めることができます。
ゲームの中で重要になる「スキャン」や、メニューを開くときなどはキーボードを使うので、完全にマウスのみの片手操作というわけにはいかないですが、操作で迷うことはほとんど無いと思います。
不満な点
札幌が舞台だけど札幌感はあまりないかも?
「札幌が舞台」という点が、ネットニュース等で特徴のひとつとして言われていますが、ほとんど札幌感は無いです。
札幌のランドマークはいくつかでてきたりするものの、マップ全体を通して、札幌を再現しているわけではないので、某 Like a Dragon のような、かなり再現された世界を想像すると肩透かしを食うことになります。
ただ個人的には、実際にすすきので流れている「客引き防止の呼びかけアナウンス」が再現されていたのはクスッとなりましたw
途中で発生するミニゲームが結構難しい(バグで詰みそうになった)
これは結構苦労しました。
途中に挟まれるミニゲームがいくつかあるのですが、これが結構難しい。
ミニゲームは、どこかで見たことのあるパズルゲームのようなものなのですが、シンプルにパズルゲームなので正攻法でクリアしないといけなくて結構時間がかかります。

例えばこんなの。
これ系のパズルは、だれもが一度は遊んだことがあると思うのですが、ちゃんと解く前にやめることも多くないですか?
きっと攻略法があるとは思うのですが、基本的に正攻法でこの手のパズルを解くことになるので、ちゃんと時間がかかります。
あと、このパズル、ひとつだけバグだと思われるものがあって、絶対に解けてるはずなのに先に進めないみたいなことがありました。下のツイートのおかげで4時間悩んだパズルをやっとの思いでクリアできたので、共有しておこうと思います。
ヒントが無いので、総当りになることがしばしば
主人公はとある事件の捜査をするために派遣されるエージェントという設定で、物語を進めていくためには、街の中にいる人と会話をしながらヒントを得ていく必要があります。
ただ、そのヒントがかなり漠然としているヒントで、次のトリガーとなる人が一体だれなのかがわからない、みたいなシチュエーションが結構ありました。
そうなると、取れる選択肢は「街の人に片っ端から話しかける」というローラー作戦。これがなかなかに骨が折れます。
ただ、逆に言うと、このゲームの世界観を忠実に守っているとも言えます。このゲームの主人公は「とある事件の捜査をするために派遣されたエージェント」という設定なので、ところどころで詰まってはローラー作戦、みたいなことをしていましたが、足で稼ぐ捜査員を追体験していると思えば、あながち間違ってるとは言えないからです。
そういう展開で、やっとの思いで先に進めるようになると、かなりテンションがあがりますし、サクサク物語が進む展開になると、サクサク進むこと自体が爽快だったりします。
なので、あーでもないこーでもない、と、じっくり考えながら進めるのが好きじゃないとちょっと大変かもしれません。インディーズゲームなので、攻略情報とかを調べてもほとんどないですしね…
総評

インディーズゲームなので、ちょっと荒いところもありますが、ディープな世界観はなかなかに惹きつけられました。最近のハードコアなゲームに疲れたときに、ゆったりコーヒーでも飲みながらプレイできる作品としておすすめできます。クリアまで8時間程度でサクッとできますしね。
◎おすすめする人
- たくさんのテキストで世界観に浸りたい人
- テキストをヒントに自分の頭で考えてじっくりゲームを進めるのが好きな人
- 難しい操作をしたくない人
×おすすめしない人
- ムービーで物語を楽しみたい人
- とにかく明るいストーリーが好きな人
- アクションで爽快感を味わいたい人
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